町の本屋が消えてから… 再び、電子書籍のこととか

週刊エコノミスト、紙版も注文。
結局本屋ではなくAmazonで買ってしまった。
近所の本屋に置いてあるとも限らない。
いや、もう次号が出ているので、本屋では買えないのだ。
Amazon はできれば避けたいと思っているのに、
送料無料に引かれてつい(軟弱で情けない)。

以前は、徒歩5分以内に本屋が二軒、10分のショッピングモールにも一軒、ブックオフ系も二軒あった。一番よく行っていたのは一番近い店で、一番小さいのにPC関連などが結構揃っていた。文庫や新書、新刊本も雑誌もパラパラ買った。そうそう、NHKのラジオイタリア語講座のテキストも。これはすぐに売り切れてしまうので(2-3冊しか仕入れていないせいで)、定期予約して取り置いてもらっていた。店頭にない本を注文することもあった。届くのに最低でも1週間はかかった。

その本屋が、ある日無くなっていた。突然のように感じて、でも、この前いつ来たのかが思い出せなかった。

徒歩圏内のお店が次々に姿を消していた。最初はコンビニまがいの酒屋。近くて便利だったのに。その代わり本当のコンビニがその先に出来て、見回してみたらぐるりと円を描くように全部で五軒になっていた。今はそのうち三軒が残っている。

がっかりしたのは銀行二支店が消えたこと。10分以内に銀行系のATMは三か所、郵便局も二支局あるけれど、メインバンクの支店が消えてしまい、込み入った手続きや通帳の繰り越しなど、今は少し離れたところに車で行くしかない。

ずっとがっかりし続けているのは、食事処がばたばたと消えてしまったことだ。絶品のラーメンと本格中華がリーズナブルだった店、辛~いレタス麺と本格炒め焼きそばのファンが多かった中華料理店、割烹小料理屋、すし屋、手打ちそばが美味しかった食堂兼飲み屋、地鶏専門の居酒屋、焼き芋とおでんの店、全部なくなってしまった。

カットのセンスが良かった美容院は、もっと近くの店が割安で、傷は浅かった。スーパーは、一度つぶれたけれど別の系列に変わって、品ぞろえは減り、少し高級になり、営業時間は短くなった。ときどき覗いていた輸入雑貨&おしゃれなステーショナリーの店は100均に変わってしまった。

全てが一度に消えたわけではない。別の店になるなら(100均以外なら)まだそれほど寂しくもない。でも、飲食店の並んだビルが消えて駐車場になり、ファミレスが「売地」の看板が立つ更地になり、そういえば…と、消えてしまった店の数を数えると、両手でも足りなくてちょっと途方に暮れる。どれくらい前からこんなに…と思い返せば、最初は15年ほど前、目立つようになったのは10年から7-8年前、ちょうどあの本屋が消えたころだ。

本屋が消えるのと、私がオンライン書店で本を買うようになったのと、どちらが先だっただろう。銀行が消えるのとオンラインバンクの開設では ? はっきりとは覚えていない。でも間違いなく、私の消費行動の変化は同時並行か、もしくは先行していた。私が「住んでいる町」のお店で買わなければ、お店は消えるしかない。

以前は町の本屋さんで、店員がイタリア語のテキストを包みながら、「私もイタリア、好きなんですよ」などと言葉を添えてくれた。今ではオンラインショップが、きちりと購入通知を渡してくれる。自動送信で、数秒のタイムラグののちに。

15年、「町の代わりのこの世界」で日々仕事をし、そうしてこんな場所も手に入れた。誰に向かって言葉を投げるのか定かでないので、自分に向かって書く。たまにLike! 1とか2とか、何かの間違いで25とか数字が入って、ああ25か、とデジタルな数字を眺める。それがためかアクセス数が5倍くらい増えても、棒グラフが一日びゅいんと伸びるだけだ。この「町」は、定型文と、数字と、棒グラフでできている。それでも時々、見知らぬ人と言葉を交わす。顔は会わさず、声も聞かず。でも、その言葉の中に、顔が見え、声が聞こえたりもする。

電子書籍のことを書こうと思っていたのに、リアル店と電子店の栄枯盛衰話になってしまった。

池内氏は、リアル本は絶版になって手に入らなくなるから良い、という。出た時に買っておかなければならないのが良いのだと。出版社はデータを死蔵するし、読者はいつでも買えると思えば買わなくなるだろう、だいたい雑誌のバックナンバーなど買う人がいるだろうか、とも。

それがいるのです。ここに。雑誌はよく買いそびれて、あとから取り寄せてもらったりしていた。女性誌の旅特集など、人気の号は売り切れということもあった。電子雑誌は、店頭に並んでいる間に買い忘れる、もう本棚にスペースがない、老眼で小さい字が読めなくなった私には、すこぶるありがたい。

絶版になって手に入らない本は、古書を探しまくって買ったりもする。アナイス・ニンとか、ポール・ボウルズとか。AmazonやBookOffにもなくて、古書店ネットで探したらあったり。でもそういう本はこれでいいような気もする。図書館でしか読めないのも、それもまた。

電子書籍は、PCのワープロソフトで文を書くようになった人が、ブログサービスで媒体を得たように、可能性のある媒体だとも思う。読み手にとってというよりも書き手にとって。私はまだやったことないけれど、JUGEMではブログを電子書籍に出来る(パブ―というのがそのサイト。覗いたらMTからも変換可能になっていた。WPからもできるようになるといいなあ)。

自分で電子書籍を作れる無料ソフトもある。書いたものが溜まってきた時、流れてしまうブログではなく、ちゃんとまとまった形で残せる。池内さんはそんなゴミみたいなのが増えてどうする、って言うだろう。でも、出版社が作るリアル本でもゴミみたいなのはあるわけだし。

こうして書き手や作り手や売り手への算入障壁がどんどん低くなって、店舗や買い物の形も変わって、プロがお金を取れなくなって(私もそうだけれど)、そうなったらそうなったで、みんな晴耕雨読になって、町で出かける先は美容院と病院だけになってしまっても、この流れはこの回路が一巡するまで止められないような気もする。でも、一巡して元の場所にもどってくるなんてことは絶対なくて、きっと螺旋を描いて上るか下るかしていくんだろうな。

だから先は、どっちにしても見えないんだけれど。

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