『ザ・フェミニズム』

上野千鶴子・小倉千加子 筑摩書房/2002.3

フェミニズムはどこへ行ったのか?
フェミニズムは女に何をもたらしたのか?
そもそもフェミニズムってなんだったのか?
というようなことがテーマ。

最近家族の問題を考え続けているので、このあたりでもう一度、
フェミニズムを押さえておかなきゃいけないかな、と思ったのだ。

しかし関西弁の対談て、漫才になるのね。
前半は公開討論なので、二人のサービス精神も全開。
これは文字で読むより、語りを聞きたかった。

後半は密室?での対談なので、さらに突っ込んだ話となっている。
いずれも面白い。
しかし、小倉さんて、上野千鶴子よりラディカルじゃないですか。
知らなかったなあ(これまでちゃんと読んでなかっただけか)。

まずはウーマンリブから始めないといけない。
リブは制度としての結婚(近代家族)を批判し、拒否した。
なぜなら、そこで女は、家事奴隷と性奴隷でしかないから(んな極端な、と言うなかれ。
極端な言い方をしないとクリアにならないことってあるんです)。
リブは奴隷状態からの解放と自由、そしてあらゆる場での男女平等をめざした。
にもかかわらず、「近代家族」幻想、「ロマンチックラブイデオロギー」、
そして「対」幻想は、しぶとく生き残った。

その幻想=イデオロギーを不問に付して、
権利獲得に軸足をおいたのがリベラル・フェミニズムだ
(リブの継承はラディカル・フェミニズム)。
ゆえに結婚したフェミニスト、事実婚のフェミニストというような人たちが出現する。
小倉さんは、結婚したフェミニストは嫌いだと言って、バッシングを受けた。
二人は、事実婚/夫婦別姓についても、「あほらし」と言う。
個人が選択した関係性を、なんでお上に認めてもらわなあかんの? と。
つまり、正式な結婚も、夫婦別姓を金科玉条にした事実婚も、
強固な一夫一婦制ということに変わりはないのだ。
上野千鶴子が言う「一穴一本主義」。

ここからセクシュアリティーの問題になる。
セクシュアリティーはジェンダーによって規定される。
でも、誰もジェンダーを選択できない以上、
私たちは自らのセクシュアリティーを、ゼロから組みなおすことはできない。

わずかだけれど、獲得したものもある。
セクハラとDVだ。
いずれも名前を与えられたことによって顕在化し、社会的な認知を得た。
(このような対談が本になって売れるということや、
お二人が大学その他の場でフェミニズムについて話す機会を持ち得ることも、
リブの時代から考えたら獲得したもののひとつだと思うけれど)。

一方、鳴り物入りで導入されたのに、変革の力にならなかったものもある。
男女雇用機会均等法。
むしろ問題を隠蔽し、固定化した。
これにより、女たちはまたしても分断され、
総体としての男女の労働現場は、少しも平等になっていない。

女が男並みに働くんじゃなくて、
男が女並みの働き方を目指すべきだ。
かつてリブ&フェミニズムでさかんに言われたことだけれど、
今やすっかり忘れられている。

結果どうなってしまったのかというと、
リブ&フェミニズムが批判した社会システムは、
その批判によってはたいして変らなかったけれど、
リブ&フェミニズムが指摘した問題自身によって、
今や内部から崩れようとしている。と、私には見える。

とはいえ、社会システムの根幹を成す(近代)家族も、一夫一婦制も、
そう簡単にはなくならないだろう。
なぜならば、広く支持を受ける、より良いオルタナティブがないからだ。

(近代)家族に替わるものとして、リブのなかに、
女だけのコミュニティーを模索した人たちがいた。
結婚は未入籍の通い婚、子育てはコミュニティーで行う。
モデルは母系制である。
ここにどのような無理があったのか、検討ははしょるけれど、
広くいきわたらなかったなんらかの理由(子育ての問題とか)はあるのだ。

一夫一婦制もしかり。
恋愛の成就を結婚としてはみたものの、
日常を共有する夫婦に、ずっと排他的な恋愛感情など続くものではない。
貞操契約は実際の婚外恋愛によってだけでなく、
バーチャル恋愛によっても実は裏切られているのだけれど、
前者は隠されている限りにおいて問題とならず、
後者ははなから問題と認識されていない。これらによって、
あるいは互いを恋人ではなく同志や友人という存在にシフトさせることによって、
「近代家族」や「ロマンチック・ラブイデオロギー」が幻想だと気づいたあとも、
一夫一婦制はなんとか解体を回避しているのだと思う。

ただし、そこに無理はある。
無理から生じるものが、特に家族のほころびとして、
ここで列挙するまでもなく様々な形で噴出しているのだと、
もう一度指摘しておこう。

 

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