WordPress から MovableType.net への引っ越しは簡単、でもカスタマイズは…

mtnet01

あまりにWPからMT.netへの引っ越しの事例が少なくて、
これはもう自分で試してみるしかないかとふと魔がさして、
14日間無料トライアルに申し込んでみた。
ものすごく簡単にアカウントはできてしまって、
WPxmlファイルからのインポートもスムーズ。
3-4分で、「インポートが完了したよ」とお知らせメールが届いた。
管理画面もサイトページもとっても軽やかで、かつての再構築の悪夢やいずこ…。

 

ざっくりとした感想

ここまでは良かったのだが、あまりにMTを忘れていたショックで一瞬立ちすくんだ。いきなりWPから引っ越してきた人はもっと戸惑うだろう。MTを触っていた私にしてからが、えーと、ヘッダー画像はどうやって変えればいいんだっけ? ヘッダーナビメニューはどこで設定したっけ? サイドバーのウィジェットはどこで入れ替えるんだ???とあたふたした。

少なくともサーバーインストール(ソフト版)MTには、サイドバー項目の入れ替えウィジェットがあったよ、確か。がMT.netの管理画面には無い。

インポートでは、カテゴリはそのまま、固定記事はウェブページに、投稿記事は記事にきちんと置き換わっている。120くらいあったメディアファイルが90ほどしか移行されていないのは、記事に挿入されている画像だけを収集してくれたから?

気になったのは、投稿記事にコメント欄がないこと。ブログというスタイルを完全に放棄しているのかMT.net。友人サイトに次の引っ越しの時がめぐってきたら、安心管理いらずのMT.netを勧めようと思っていたのだが、これではコミュニケーション重視の友人サイトには使えない。これまたショックである(比較表には記載されていたのだが気付かなかった)。

Movable Type シリーズ比較

 

MTのハードルはMTタグであった

その昔MTタグになじんだ身でWPに来てみたら、PHPがとっても高いハードルだった。MTタグはHTMLに似ているし、タグコード自体も分かりやすかったのに、PHPはわけがわからんと思ったのだ。ただし、MTに関しての解説本を10冊くらい読んだ後の話である。一方WPは一冊も読まずに、いつのまにか(そこそこ)カスタマイズできるようになっていた。

WPはPHPを知らなくても、管理画面でけっこうカスタマイズが出来てしまう。ヘッダーのナビゲーションメニューなど、自由自在に作ることができる。サイドバーやフッターも、ウィジェットで項目を好きな順に並び替えることができる。ヘッダー画像も、テーマのカスタマイズからメディアライブラリにアップした画像を選ぶだけである。初心者が気軽にカスタマイズに一歩踏み出せるのである。

おまけにWPテーマは進化していて、今ではテーマカラーや背景色、フォントやサイズも、管理画面でテーマのカスタマイズオプションで可能だったりする。最初はこれで満足し、次にCSSファイルを触るようになって、プラグインを追加したり設定したり。で、最後にPHPにも手を出すようになる、と順を追って進んでいける(私の場合相変わらずPHPのきちんとした知識なしで、カスタマイズ事例などを適宜参照しているだけだが)。

ところが、MTではこの「順を追って」が出来ない。カスタマイズのほぼ*すべては、テンプレートファイルを開き、タグを修正して行わなければいけないのだ。つまり最初の入り口にMTタグがでんと構えているのである。タグを触らなくていいのは、ヘッダー画像やロゴ画像の差し替えくらいである(ファイルマネージャーに希望の画像を同じ名前でアップすれば良い)。

*ただし、MT.netのフォームはWPより簡単である。プランにより利用数は異なるが、プラグインも不要で、設定もドラッグで簡単にできてしまう。カテゴリとフォルダの並び替えも、やはりプラグインなしのドラッグで設定可能。

CSSの修正はMTもWPと同様だし、複数のテンプレート(テーマ)ファイルの組み合わせでサイトが構成されているのも同じ、違いはそのファイルがPHPで書かれているかMTタグで書かれているかだけ。

ではあるのだが、最初に何も知らずに始められるWPと違って、MTのカスタマイズには最低でもHTMLとCSSの知識が必要。多少でも知っているとMTタグはPHPよりわかりやすいのだが、これが前提である時点で、確実にやる気はそがれる。

WEB制作会社の方が、顧客にMovableType.net導入までのノウハウを教えても、なかなか自力で開設までこぎつけられない、だから開設までは仕事として請け負うことにしている、と書いていた。なるほどそうだろうなと、WPにあまりになじんだ後にMTに行ってみて実感した。

 

思い出しながら

テーマは2-3入れ替えたあと、Stylish Corporate にしてみた。テーマの解説も用意されている。

テーマ「Stylish Corporate」の特長と使い方
新テーマ「Stylish Corporate」を公開!制作者がポイントをご紹介します!

とりあえずテンプレートファイルをぼーっと眺める。と、少し甦るものがある。MTは構造がわかりやすい。たとえばメインページのテンプレートを開くと、インクルードされているテンプレートモジュールのリストがあり、リンクも貼られているから、それをたどってカスタマイズしていけばいい。

サイドバーもウィジェットにはなっていないものの、必要な個所に埋め込んだりタグを入れ替えればいいわけで、慣れれば問題なさそう。サイトの色やメタタグなどはテンプレート・モジュールのconfigで設定している。CSSにはMTタグを入れるだけ。

まずはヘッダー用ロゴ画像をlogo.pngで用意し、ファイルマネージャーでimagesフォルダにアップして差し替え、背景色やナビメニューのリストなどをCSS調整。

ヘッダー画像も大きくてうるさいので、メインのテンプレートから不用な個所を<mt:Ignore></mt:Ignore>で囲んで非表示にする(削除してもOK。テンプレートは履歴が残るので)。これだけでトップページの雰囲気ががらりと変わった。

物足りないのはファイルマネージャー。出来るのは新規アップロードと削除のみ。名前の変更すら不可。FTPでつなぎたいよぉ。

MTでいいなあと思うのは、管理画面右上メニューのヘルプから、サポートやタグマニュアルにアクセスできること。わからないことが出てきたら、まずはここをクリックする。当然全て日本語である。ありがたい。MTはシロウトユーザーのオンライン上の実践例はWPほど多くないが、マニュアルがしっかりしており、公式の活用ブログも日々更新されている。

参考:MovableType.net 活用ブログ
トフでもできるMovableType.net テーマ開発

MTタグに関しては、使えないものや対応していないものがあるので注意が必要。
Movable Type と MovableType.net の MT タグ差分表

と一週間ほど遊んでみた。
カスタマイズのあれこれば別記事にすることにして…。

 

気になることと足りないもの

コメント欄が無いことに加えて、決定的に足りないのは、外部サイトのFeedの読み込み。私的にはこれが痛い。ソフト版(インストール型)にはプラグインがあったと思うのだが、MT.netはプラグインを追加できない。

ソフト版を思い出して足りないと思ったのは、グローバルテンプレートである。ヘッダーとフッター、サイドバーなどはグローバルテンプレートで一括して制御できると楽なのに…。

テーマの選択肢が少ないのは仕方ないのかな。ソフトウェア版MTであれば無料/有料テーマも(今も)あるだろうけれど、MT.netではそのままでは使えない。現行では、構造が希望のものに近く、カスタマイズしやすそうなテーマを、管理画面から選ぶしかなさそうである。

よくわからないのがGitHub連携。これができればローカルとの同期もスムーズで、バックアップも不要になるのかしら、と少し調べたけれど敷居が高そう。とりあえず、カスタマイズしたテーマとサイト&ブログをローカルにエキスポートしておく。

 

でも、楽しかった!

MTから再構築がなくなるとこんなに楽か!? と何度も思った。作業中の管理画面も、サイト表示も、最初に感じた「速っ!」*がずっと続いた。有名サイトでも広告やら画像やらの読み込みが遅く、かったるいなぁ…、と思うことがけっこうあるけれど、MT.netでは全くストレスを感じなかった。前回書いた「放置サイト」などにはもったいないほどである。

*GTMetrixで計測してみた。現行サイトのサーバーはロリポップのスタンダードである。
現行/PageSpeed:C(74%)、YSlow :E(57%)、Time:4.7s、Size:1.15MB、RQ:65
MT.n/PageSpeed:B(82%)、YSlow :C(71%)、Time:3.9s、Size:610KB、RQ:44

MT.netに一番ぴったりなユーザーは、セキュリティと管理はおまかせで、それでもきちんとサイト記事を更新している小規模サイト。WPからの引っ越しは少し大変かもしれないけれど、この際HTMLとCSSの本を一冊読むか、もしくは(私みたいに)その都度ネットで調べながらでも何とかなる(と思う)。

最初のハードルをクリアすれば、あとは管理画面だけで全ての作業が出来る。考えたらこれもすごいことだよ。テンプレートファイルの新規作成も簡単で、履歴から編集差分を比較したりもできる。パスワード保護の限定公開も、サイト全体もしくはブログごとに設定が可能で、.htaccessに記述する必要もない。FTP接続ができなくても問題はないのだ。

せっかくカスタマイズしたので視認できるネット上にも置いておきたくなり、ロリポップにMT6をインストール、MT.netをエクスポートしてみた。その顛末も別記事にするけれど、MT本家との同時並行作業で、MT.netのシンプルな良さが更によくわかった。

いずれにしても、MTのメリットが活かされ、より軽快に生き続けているのが嬉しかった。何より、再構築不用のMTのカスタマイズの楽しいこと!(わかりやすい)MTタグで自由にあれこれ呼び出せるのが、実に気分が良かったのだ。

ただし、この先、私が管理するサイトをMT.netに引っ越すかというと、微妙である。問題は経費。現行、ドメイン3つ、(ブログ)サイトが4つあるのだが、うち1ドメイン1サイトはロリポップの永久プランなので費用は発生しない。他の2ドメイン3サイトはwpXサーバー1アカウントに入れているので、月額1,000円。合計サーバー代がMT.netライトの半額なのだ。

MT.netの1契約1ドメインというのが、今後の離職生活突入にあたってはきつい。2ドメインを維持すると経費は4倍。といって無料のソフト版MTにするかというと、これも微妙。MT.net利用者が増えてWPサーバー並みに値下がりしてくれないかなぁ。かつ複数ドメイン可になってくれれば、とっても嬉しいんだけれど。

 

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