エジプト 「革命」の損失額

連日のカイロやその他の都市での座りこみやデモの経済的損失は、毎日数100万ドルと見込まれている。又エジプト革命が始まってからの損失の総額は1000億エジプトポンドと見積もられる。
中東の窓 7/18日)

1000億エジプシャンポンド、いったいいくらになるのだろうと
今日のレートを入れてみた。
142.8億ドル、1兆4300億円。
ちなみに、2011年のエジプトの実質GDPは約5839億エジプシャンポンド。
(世界経済のネタ帳)
単純に計算してみると、1年の17%である。

2012年2月のエジプト旅行の際、ガイドに、
イスラム政権は観光業に何か悪い影響をもたらすだろうか、
と聞いたことがあった。
答えは、まさか、そんなことあるはずがない、だった。
何故なら、エジプトは観光なくしては成り立たない、
それはムスリム同胞団だってよくわかっているはずだから、と。
あのときは確かに、観光客が戻ってきつつあった。

観光は、その国が歴史・文化的な、あるいは自然の魅力に満ち、
そして人的に豊かでなければ成り立たない。
人的というのは、安価な労働力のことではなく、ホスピタリティーのことだ。
客をわが懐に迎え、もてなす心の深さ豊かさが文化的慣習としてあること。
(外国資本がリゾートホテルをつくるだけではだめなのだ。)
エジプトには、この全てがある。けれども、なんといっても、
その土台となる社会が平和で安定していなければ、豊かな資産も活かせない。

そんな話を今年の3月、日本語ガイドのアムロ君としたばかりだ。

上記ブログ、その他ニュースでも報じられているけれど、
米国務副長官に続いてアシュトンEU外交代表がエジプトを訪問した。

al arabiya net はこの訪問はEUのエジプト新政権完全承認を意味するなどという前新聞組合書記長の言などを載せていますが、このような相も変わらずの「教義論争」に比したら、ケリー長官が「エジプト軍が内戦を回避した」と語った方が、よほど現実的な見方かと思います。

『中東の窓』の野口さんは今後の展望について、
以下の3点がカギになると言っている。
①いつまでムルシ支持派が大量動員を続けられるか
②暫定政権の具体的な政策・憲法草案の内容
③経済立て直しの見通し

順番は言及順で、重要度順ではない。
そもそも順序がつけられるものではなく、同時並行で求められるものだ。
①には融和の動きが含まれるだろうし、治安問題もここに入ってくる。
目に見える最大の問題は③だろうけれど、
そのためには武力衝突を避け、対立を融和にもっていく必要がある。

このことに、シシ国防相の副大統領兼務はどう影響するのだろう。
それからヌール党の離脱。
コプト教徒の殺害の報、反ムルシ派の一部からの、
過激暴力おどし的な言説も聞こえている。

というような段階での懸念材料となる情報。

エジプト軍が戦っているのはムスリム同胞団連合軍だ (中東TODAY 7/17日)

今回のエジプト国内のムスリム同胞団の動きは、本格的な闘争形式であり、彼らが武器を外国から取り寄せ、隠匿しているという情報は、半年以上前からあったが、ここにきて少しずつその武器が、姿を現しているようだ。

う~む(もう、うなるかため息をつくしかない)。
シナイ半島での軍に対する攻撃は、ガザのハマスであろう、
そのためイスラエルがエジプト軍のシナイ半島への展開を認めているのだ、
との分析である。
(これに関して、在エジプト日本人ブログをあさっていて拾った話。
石油不足はモスリム同胞団がガザに石油を流しているからだ、
というウワサがあったらしい。
彼女は、ムルシ退陣後、ガソリンが買えているかどうかを皆に問うていた。
もし買えるようになっているなら、ウワサは本物だった、ということで。
関係ないでしょう、とは思うけれど、
同胞団が巷でどう見られているかの例証ではある。)

同胞団デモ続行へ=市民に反発、さらなる混乱も-エジプト
(時事ドットコム 7/17日)

同胞団の抗議行動は、市民生活に支障を生じさせることで注目を集めるのが狙いだが、一般市民の間では秩序の回復が遅れることへの不満が高まっており、奏功するかは不透明だ。
また、地元紙によると、同胞団を敵視する若者主体の世俗過激派勢力「ブラック・ブロック」は、治安部隊がイスラム教のラマダン(断食月)明け(8月8日ごろ)までにモルシ派のデモを排除できなければ「行動を取る」と警告し、暴力行為に出ることも辞さないと訴えた。

組閣の顔ぶれを見て、シシ国防相の副大統領兼務におやっと思った。
国防相というだけならともかく、これでは露骨な軍の権限強化である。
これは本当なら避けたかったことではないのか、と思ったのだ。
軍が表に出ないほうが(実態はともかく)、
対内的にも対外的にも得策だというのがあるから。
でも、上記のような状況下であるならば、抑えとして、
あるいはひとつのメッセージとしてありなのか、とも思える。

しかし、対立すればするほど、それが武力対立であればあるほど、
人々のパンに回るべきお金が無駄に消えてしまう。
ただ消えるのではない。人の命を奪いながら燃え、灰になってしまうのだ。
しかもそのことが、将来にわたる経済の復興を、
さらに難しいものにしていく。

 

【その他、参考記事など】

中東・北アフリカが世界の火薬庫である理由  (アゴラ 7/17日)

エジプトに見る軍と近代化 (安井裕司氏のブログ 7/17日)

エジプトの人々は当面、「近代化(軍)」か「民主化(保守)」を選ばなければならないことになります。そして、両方の勢力が、近代化の意義と民主化の意義を一定程度でも見出すことで、収斂していくしかないのではないでしょうか。

エジプト(中東)においては、民主化と近代化がリンクしないという指摘。
「民主化のない近代化」が独裁という政治混乱を招き、
民主化を求めると保守化(イスラム回帰)する。
で、保守派の宗教独裁が政治混乱を招き、
それに対して近代化を求めると……。
まるでメビウスの輪のように最初に戻ってきてしまう。
確かに、おっしゃるとおり。収れんのための方向性もその通りだと思う。
でも、そう簡単にはいかないだろうなあ。

そして、シリア。
今度は花のいっぱい咲く春に来たい、そう思ってから2年、
3度目のラマダンを迎えた。

もう、何をどう言っていいのか。
1カ月間の死者は5千人以上、国外へ逃れる難民は1日約6千人、との報。
国連高等難民弁務官が「これほど恐ろしいペースで難民が出るのは
(100万人近くが犠牲になり、200万人がコンゴなどに逃げた94年の)
ルワンダ大虐殺以来」と指摘した。(新聞各紙が報じている)

このままでは国民がいなくなってしまうのではないか!
すでにもうあのシリアはないと、この人のFBで写真を見て思った。
https://www.facebook.com/yayoi.yamazaki.3?fref=ts
山崎やよいブログ

こんな状況の中、
山座さんと友人たちは、シリア女性の刺繍を日本に紹介・販売し、
資金援助しようとしている。
イブラ・ワ・ハイト إبرة و خيط

‎イブラ・ワ・ハイト إبرة و خيط‎

 

 

 

 

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