エジプト ラマダン後最初の金曜日

12日、ラマダンが始まって初めての金曜日。
また二つのデモ隊が衝突するんじゃないかと、心配でならない。

今日のメモとして。

エジプト政変で周辺国のイスラム政権に試練
(日経 ファイナンシャルタイムの翻訳 7.11)

上記記事は、「ムスリム同胞団は内部崩壊」したと言い切っている。

中東の民主化運動「アラブの春」で同胞団などイスラム勢力が政治の表舞台に登場して以来、イスラム政権の台頭は加速していたが、ここに来て失速。同胞団が誕生の地で破滅したことは、中東全域での政治的イスラムの後退を告げているのか。

「イスラムこそが解決策だ」と訴えた同胞団は、半ば地下組織ともいえる反体制派で見事に組織化されていた。しかし、政権に就くと統治手段が見つからず、効率や説明責任よりも忠誠心や秘密主義をモットーにした政権運営にエネルギーを注いだ。

11年のムバラク政権崩壊後の混乱のなか、選挙はモルシ氏と旧体制派の生き残りとの対立に直面した。モルシ氏が当選するにはリベラル派や左派、世俗主義の若い活動家らの支持が不可欠だったが、変革を進めるためにこうした勢力を連立政権に加えることを拒んだ。皮肉なことに、モルシ氏と同胞団は、昨年成立させたイスラム色の強い憲法で軍の特権を確保し、軍を取り込むという大きな賭けに出た。だが、同胞団はエジプトの若者の多様性を見誤った。適応性の高いエジプト軍はこうしたミスは犯さず、その行動が地域の統治機構を変える結果となった。

あれ? 軍と同胞団はずっと敵対していて、
同胞団は軍の特権を規制し、力をそごうとしていた、
今回の「クーデター/革命」は、軍と同胞団の権力闘争でもある、
ってことじゃなかったっけ?
同胞団は軍の取り込みに失敗し、軍は若者たちの突き上げに、
同胞団を見限った、ということなのか。
でも、権力闘争であることは確かか??
少なくとも、軍は同胞団と道ずれになりたくはなかった、
というのはありそうだね。

記事は、周辺のサウジアラビア・UAE、そしてシリアのアサド政権が、
同胞団の「崩壊」に狂喜していると言う。
資金援助はクエートも表明したらしく、計120億ドルと記されている。
ただしこれは、スンニ派の凋落に変わり、
サウジやUAEのワッハーブ主義の台頭を期待して、
というようなことではなくて、
「エジプトやトルコの反体制デモの影響が及ぶこと懸念している」から。

アラブ諸国は同胞団を地下墓地に追い返し、イスラム勢力の中に、民主主義は西側が自分たちを政権から遠ざけるための策略だという過激な見方を定着させることを望んでいる。先週のクーデターのさなか、モルシ氏の外交顧問ハダッド氏はフェイスブックで「民主主義はイスラム勢力のものではない」と記した。

うーむ…。
これはまたなんという原理主義。
またまた頭がこんがらがるじゃないの。
同胞団は、自分たちにこそ民主主義的正当性がある、
軍は反民主的な独裁だ、そう言ってるみたいなんだけど…。

つまり一部のアラブ諸国が言いたい(とこの記事が思っている)のは、
同胞団よ、おまえたちはイスラムで民主主義を行おうとしたかもしれないけれど、
今回のことでは民主主義に裏切られたじゃないか、
いや、最初から民主主義は、おまえたちを破滅させるために近づいてきた悪魔だ、
というようなことですかいの?

かたや軍批判のトルコのエルドアンについて。

穏健派イスラム主義政党を率いるトルコのエルドアン首相は、モルシ氏の盟友でもある。エルドアン氏は「民主的なクーデターなどあり得ない」と述べ、支配下に置く強大なトルコ軍への警戒心を示した。だが、モルシ氏と同様に、エルドアン氏も選挙で選ばれたことを社会の意向を完全に無視する権限と解釈し、非難を浴びている。首相にとっては、先月のタクシム広場でのデモは国際的に展開されたクーデターの前兆となった。エジプト政変を受けてエルドアン氏が先週、政 権幹部全員を招集して緊急会議を開いたのは驚きではない。

こちらはすんなり頷ける指摘。

でも、アラブ・イスラム世界が複雑なのはよくわかる。
同じイスラムといっても実に様々なのだ、ということ。
大きくはスンニ派とシーア派があって、
ヨーロッパやアメリカとの関係や、ということはイスラエルとの関係があって、
石油や資源のあるなしもあるのかもしれない。

それにしても、昨日まで読んでいた『イスラム』でも思ったんだだけど、
サウジの厳格なワッハーブ主義って、
この100年前くらいからの、イスラム改革運動から出てきたものだということ。
イスラムの改革の一つの方向は、サウジアラビアにおいて「成功」したわけだ。
よくわからないけれど、その「成功」は、多分、石油があったから、だろう。
王政だろうと独裁だろうと、暮らしが平穏で、
衣食住が足りている、つまり、
それなりに富の分配がなされる善政であれば、
人々は不満を言わないような気もする。
この点が、「アラブの春」の伝播を押しとどめている理由のようにも思う。

問題は、オルタナティブな改革運動だろう。
ワッハーブ主義のような厳格化が、この世紀に、
今混乱を迎えているような地域で、説得力を持つとは思えない。

【その他】
・エジプト:軍「モルシ氏訴追せず」 クーデター前、信任投票を提案

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