『秘密保護法案』に危惧の声多数② &適用事例

秘密保護法案、今月7日に国会で審議に入ってからも、
危惧の声が一層高まっている。
パブリックコメントを提出した時、
(自分も含めて)ちょっと動きが遅いんじゃないかな、と思った。
マスコミで取り上げられるのも遅かったように思う。
それに比べたら、山本太郎や藤原紀香の反応はずいぶん早かったということだ。
もちろん、多くの人が警鐘を鳴らしていたんだけれど、
彼女のような声もあってようやく、皆がその内実ついて考え始め、
じわじわと危惧が浸透してきた、ということなのかもしれない。

遅くても弱腰でも

ようやく11日に、TVジャーナリストも反対声明を出した。
だが、遅きに失したのではないか、という声もある。
2013/11/11 「国会で廃案になると思っていた」
TVジャーナリストら秘密保護法反対会見 (IWJ 11/11)
遅きに失した TVキャスターたちの「秘密保護法反対」
(田中龍作ジャーナル 11/11)

あるいは、アリバイ証明だ、とすら言われている。
そうだよねえ、なんで国会審議に入ってから? とは思うよねえ。
それでも、声は大きく、数は大いに越したことはない。
たとえ決まるにしても、少しでもまっとうな部分を織り込むのに、
多少の力にはなるかもしれない。
それに、この法律は解釈のしかたでどうにでもなる部分が大きいわけだから、
いい加減な運用は出来ないぞと、多少の抑止力にもなるかもしれない。
いずれも、かもしれない、という希望的観測なのが悲しいけれど。

遅きに失しただけでなく、弱腰だ、との指摘。
特派員協会は“撤回要求” 「秘密保護法案」におもねる大メディアの弱腰
(日刊ゲンダイ 11/12)

 要するに報道機関だって「ガサ入れ」されるわけだ。すべて捜査機関の胸三寸。サジ加減で何でも決まるということである。戦前の「特高警察」復活は時間の問題だ。

 これに強い危機感を募らせるのが、外国メディアである。日本外国特派員協会は11日、会長名で<法案は報道の自由および民主主義の根幹を脅かす悪法であ り、撤回、または大幅修正を強く求める>と断固反対の姿勢を表明。<報道の自由はもはや憲法で保障された権利ではなく、政府高官が『充分な配慮を示すべ き』対象に過ぎないものとなっている><取材において『不適切な方法』を用いてはならないといった、ジャーナリストに対する具体的な警告文まで含まれてい る>と断じた。

 米NYタイムズも先月29日(電子版)の社説で、<ジャーナリストに対する最長5年の懲役刑を脅しとして、政府がより不透明になる>と指摘していた。ともに報道機関として極めてまっとうな抗議表明だが、対照的なのは日本のメディアだ。

 日本新聞協会は「『特定秘密の保護に関する法律案』に対する意見書」と題し、見解を公表している。しかし、その中身は<報道機関の正当な取材が運用次第では漏洩の『教唆』『そそのかし』と判断され、罪に問われかねないという懸念はなくならない>と腰が引けているのだ。なぜ真正面から「脅しだ」「廃案にし ろ」と叫ばないのか。あまりに情けない。

 政治評論家の森田実氏はこう言う。
「新聞、テレビは本格審議の段階になって騒いでいるが、報道機関を標榜するなら、もっと早い段階で反対するべきです。リアクションが遅いし、その主張も社説などでちょろっとアリバイ程度で書くだけ。まったくどうかしている。今の新聞、テレビは完全に政府御用機関と化している。自分たちも体制側だと勘違いし ているのです。メディアがこんな体たらくだから、日本は戦前のファッショ帝国にまっしぐら。それを海外メディアは相当、警戒しているのです」

 大新聞、テレビは報道機関の看板を下ろすべきだ。

『日刊ゲンダイ』って、どういう立ち位置のメディアだっけ ?
と一瞬考えてしまったが、まあいいや。
とにかく、海外勢から指摘されてあたふたするのが情けない、というのは同感。
でも外圧に弱いのはメディアだけじゃないし、
この際、情けなかろうが何だろうが、やっぱり声は大きくて数は多い方がいい。
『特定秘密保護法案』に外国特派員協会が懸念を表明 声明全文
NYタイムズ 社説で「日本版NSC」「秘密保護法」断罪の波紋

適用事例として

イラク派兵の実態と「特定秘密保護法」 (弁護士川口創のブログ 11/10)

2003年イラク派兵の実態は隠蔽され、国民は欺かれていた。
だが、イラク派兵差し止め訴訟弁護団や、中日新聞・東京新聞など、
一部ジャーナリストの取材と報道を通じ、
2006年に「こっそり始まった」航空自衛隊によるバグダッドへの輸送活動は、
実は武装米兵の輸送であったことが明らかになった。
この事は裁判で問われ、2008年に名古屋高裁から憲法9条1項違反の判決が出た。

仮に、「特定秘密保護法」ができていれば、我々の情報収集も、また、中日新聞・東京新聞の取材活動も、処罰の対象となりかねなかったのではないだろうか。イラク派兵の実態は隠蔽されたままで、当然違憲判決なども出ることがなかったであろう。
 2008年4月に違憲判決があり、当初、政府はこの判決を軽視する発言を繰り返していたが、2008年の年末には、イラクから自衛隊を完全撤退させた。
 憲法9条が力を発揮したと言って良い。

 こうした情報は、「外交・防衛」に当たるため、特定秘密に指定され、入手できなくなる。そうであれば、憲法違反の事実が海外で積み重ねられたとしても、情報入手ができない以上、憲法9条を活かす訴訟自体が不可能となり、憲法9条は空文化してしまう。

 さらに、違憲判決から1年あまり経った2009年10月、国はそれまでほぼ全面的に墨塗りに形でしか「開示」してこなかった航空自衛隊の活動実績について、全面的に開示をしてきた。

その「全面開示情報」から、航空自衛隊の輸送活動が、人道支援でも何でもなく、武装した米兵の輸送が多数に上っていたことが明らかとなった。
 仮に特定秘密保護法があり、「特定秘密」に指定されていたとすれば、こうした情報が開示されることはなかったであろう。

 安倍政権は、来年には、国家安全保障基本法まで制定を狙っている。
  国家安全保障基本法は、集団的自衛権のみならず、海外での武力行使を全面的に解禁していくことにつながる法案であり、憲法9条を完全に空文化させしまう法 案である。同法案では国民に対する「防衛協力努力義務」も課されれ、この基本法の下で作られて行くであろう様々な法律によって、戦争に反対すること自体が 処罰対象となりかねない。

 国家安全保障基本法の中には、秘密保護法制の制定と、日本版NSCの創設自体が明記されており、この国家安全保障基本法と、特定秘密保護法と、日本版NSC法とは、一体となって、日本を軍事国家に作り上げる法体系の基本として機能していくことが予定されている。

 国家安全保障基本法は、まさに「平和憲法破壊基本法」である。
 明文改憲手続きを経ることなく、憲法9条に規範を根こそぎ否定し、軍事中心の新たな国家体制を作り上げるのが、国家安全保障基本法であり、その大事な骨格となるのが、特定秘密保護法である。
 このようなやり方が認められては、もはや我が国は立憲主義国家とは言えない。

 特定秘密保護法は、単に「知る権利」云々、という問題にとどまらない。私達が今直面しているのは、「平和憲法」の危機であると同時に、「立憲主義」の危機である。

特集:特定秘密保護法案、成立したら−−市民生活こうなる 崩壊する知る権利
(毎日新聞 11/10)

沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された外務省機密漏えい事件、
当事者の西山氏をゲストに、秘密保護法案の危険性に迫る。
西山太吉がわれわれに残した宿題と政治家の問題意識を問う
(Videonews.com 11/02)

「秘密」は秘密って ばかな話 作家・沢地久枝さん (東京新聞 11/04)

「戦争中の法律よりひどいのではないか。当時、軍事機密に触れるようなことは一般の人も予測できた。今度の場合、想像ですが、何が特定秘密かはだいたい米政府との話し合いで決まるのではないか。今急いでいる理由は、日米関係を特に軍事面で円滑にするため、日本は こうしますという約束を米国に見せようとしているんだと思いますね」

 沖縄返還の日米密約に迫った新聞記者が逮捕された外務省機密漏えい事件を、著書「密約」で取り上げ、密約の文書開示請求訴訟にも原告として加わっ た。「法案が成立すれば警察国家のようになる。特定秘密の保護措置として警察庁長官はいろんなことができる。戦争中の日本人は『警察ににらまれたらまず い』と思いながら話していた。そういう時代に戻る可能性が非常に大きい」

 

 

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