シリアとイラク、連動する危機

シリアがクローズアップされていた頃から、半年以上が過ぎた。
報道にはアサド大統領が選挙で再選されたことぐらいしか出てこないし、
どうなっているのかがよくわからないできた。でもここにきて、
イラク国内がスンニ派とシーア派とクルドの三つに割れるような事態となり、
シリアがイラク国境を空爆した、というようなニュースもあり、
シリアとイラクの内戦状態が連動して動いているのが、
クリアに見えてきたような気もする。
ネットで目についたいくつかの記事をメモしておこう。

先ず最も大きなニュースはオバマが、議会に対してシリアの穏健派勢力に対する武器援助と訓練の費用として五億ドルの支出を認めるように要請したことです。
尤 も、米国が援助を予定している武器の種類、穏健派とは誰を指すのか(おそらくは自由シリア軍の中でも、イスラム勢力ではなく・・・少なくともISISとは 敵対していて・・・比較的指揮命令系統もしっかりしていて、簡単に武器を横流しなどしない(ように見える)ところでしょうが、果たして、現在大きな勢力と して、そのようなものが残っているのか不明です。自由シリア軍もかなり分裂しているように見えますが・・)・・・とにかく、今頃になって、イラク問題も抱えるオバマが突然武器援助に踏み切る真意が判りません。
・中東の窓 シリア情勢 2014.6.27

イラクがこうなったのは、アメリカが大量破壊兵器でっちあげ攻撃でイラクをガタガタにしたからだ、だからその責任はとるべきである、というのは正論なんだけれど、じゃあどうすればきちんと責任が取れるのかというと、これがねえ…。
紛争がシリアとイラクにまたがっちゃったことによって、欧米の立場は摩訶不思議なことになってるし。
欧米はシリアでは反アサド。反アサドにはISISがいる。ところがイラクでは反ISISのマリキ支持。で、シリアのアサドはマリキ支持。
イラク内紛アメリカ責任論から言えば、もうシリアは捨てて(というか優先順位で二番手に置いて)とにかくイラクじゃないのかなあ、と思うんだけれど。

でも、もうそんな欧米の後手後手の対応じゃ追いつかないほどに、あの中東の要となる地域は動き出しちゃってるような気もする。ISISの射程内にはイスタンブールやヨルダンも入っているみたいだし。で、イスラエルとイランも絡んでくるし。

ISISは「テロ組織」ではない、行政能力もしっかりある、というような論もあり。モスルは政府軍支配下より平和だとか、ガソリンは安くなったとか。そうかもしれない。いずれにせよ、「テロ組織」と決めつけてつぶしにかかるだけでは、何一つ解決しないのは確かだと思う。

 

【その他の参考記事】
『敵の敵は味方・クルドとイスラエル』(中東TODAY 6/27)
現下のイラク情勢について (大野もとひろオフィシャルブログ  6/26)
シリアがイラク過激派空爆か 50人死亡情報、イランも介入 (共同通信 6/26)
「テロ組織」超えたイラク過激派 池内恵(MSNニュース 6/26)
イラク情勢を考えるポイント(水口章:国際・社会の未来へのまなざし 6/24)
ISIS「イスタンブルも射程内!」 (Milliyet紙 6/19)
焦点:イラク内部崩壊で変わる勢力図、中東の国境再編も (Newsweek 6/16)
イラク危機:イラク・シリア・イスラム国(ISIS)の急拡大を読む (朝日中東マガジン 6/14)
イラク:モースル陥落の深刻さ (Newsweek/中東徒然日記 酒井啓子 6/11)

 

追記 6/28

酒井啓子さんの記事を再読。
この記事を読んで、イラクがえらいことになっている、と思ったのだった。
酒井さんは、これはもはや宗派対立ではなく、本格的な軍事行動である、と言う。
ISISがモスルをはじめいくつかの町を占領下に置けるということは、
旧バース党の残党やその他スンニ派の協力が不可欠であるとは、
多くの人が指摘することであるけれど。

今日目についた記事。

シリアの反アサド戦にも、欧米を含む多くの外国人の参戦が伝えられていた。
このようなISISの戦士リクルートは、
問題を局地的なものからグローバル化することでもある。
アングル:イラクから東南アジアへ、SNSが拡散する「過激思想」 
(ロイター6/28)

 イラクシーア派の最高権威シスタニ師が、「議会が招集される7月1日までに、次期大統領、首相、議長の主要3ポストについて各政治組織が合意するよう呼び掛けた。」

マリキ首相退陣がシーア派の中からも示唆されたわけだけれど、ここまで三派分立がくっきりしてしまったのに、しかもこんな少ない日程で、大丈夫なんだろうか。シスタニ師の、ISISへの影響力はどれほどなのか。
内戦状態打開へ道を開く、数少ない方策の一つではあるだろうけれど。
来月1日までに首相選びを=シーア派指導者呼び掛け-イラク 
(時事通信 6/28)

 

 

 

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