ウソの上のオリンピック 安倍首相の汚染水答弁をめぐって

オリンピックについて、付け加えておきたいことがある。
今日になっても、私の周囲からは、オリンピック歓迎の声ではなく、
危惧と批判、そしてあの大ウソに対しての怒りの声ばかりが聞こえてくる。
怒りを通り越して悲しい、という人もいるし、
なんてことを言ってくれたのだと呆然とし、嘆き、
あんな安請け合いが破たんしたらどうなるのかと、惧れおののく人もいる。
あるいはこれで墓穴を掘った、退路を断たれた、という人もいる。

政治家のウソには慣れている私たちではあるが、
あれほどぬけぬけと自信に満ち、しかも世界の大舞台で、
それもすぐに露呈するようなウソには、
確かにそうお目にかかれるものではない。
でも私は、首相の答弁の内容というよりも、
IOC委員との質疑応答そのものに、ある種の違和感をもった。

1. 私が安全を保証します。状況はコントロールされています
2. 汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている
3. 福島近海でのモニタリング数値は、最大でもWHO(世界保健機関)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ
4. 健康に対する問題はない。今までも、現在も、これからもない

質問者は、こんなことは訊きにくいのだが、と前置きしたうえで、
放射能の影響について、科学的根拠を挙げてくれ、と質問した。
上記(2~3)は、その答えになっているだろうか。
首相の答えに踊っているのは、根拠のない数字だけだ。
が、質問者も会場にいる誰もかれも、この答えに満足したようで、
さらに細部にわたる質疑は行われなかった。

汚染水に対する懸念について、
海外メディアでかなり大きく取り上げられていることは、すでに書いた。
これら国際社会が日本に対して抱いている危惧と、
政府・東電に対する不信は、どうやらIOCには薄いようだ。
あの程度の質問と答えで良しとするのだから。

おそらく首相は、質問者の意図に100パーセント答えたのだ。
IOC委員が引き出したかったのは、ゴーサインを出すに足る数値と、
開催国首相の自信満々の態度だけだったのではないか。
福島の放射能が、東京にとっての唯一のリスクであることは、
誰の目にも明らかだ。
ゆえに、汚染水・放射能は、他の二都市が抱えるリスク、
マドリードの経済と、イスタンブールの政治よりはるかに小さいのだ、
というパフォーマンスが必要だった。IOCが求めたのは、
(たとえウソであろうとも)そのようなパフォーマンスであり、
安倍首相は見事にそれに応えたのだ。

私がプレゼンに感じた違和感は、
とってつけたような作り笑顔や美談だけではなく、
予定調和的な流れそのものにあった。
オリンピックを動かしているものは、
スポーツを通じた世界平和というような理想・理念だけでないことは、
誰も承知しているだろう。
ただそれがあまりに全面に出てくるのはルール違反ね、
というような暗黙の了解があるだけだ
(日本の経済界は恥ずかしげもなく前面に出しているけれど)。

東京招致は、この背後の力によっても、大きく動いたのに違いない。
この力こそが、マドリードの経済、イスタンブールの政治に比して、
東京の放射能がリスクが低い、とみなしたかった、
あるいは自らの存続に対して、リスクをより低く見積もることに利がある、
としているからではないか。
そこにはきっと、グローバルな原子力産業などというものも、
含まれているだろうから。

だからといって、私たちも、
首相のウソを信じるフリをしていいわけではさらさらない。
いや、信じるフリをしてもいいけれど、
それには、言ったことにに対してはちゃんと落とし前つけてよね、
という姿勢が不可欠だ。

いわき市議佐藤かずよし氏のブログから。
国際的信用問題、汚染水対策を求める日弁連声明

湾内と外洋との間に隔てる障壁はありません。世界中の人々の前で、どのような根拠で、このような説明をされたのか、詳しく説明していただきたいものです。

首相答弁のウソについての検証。
安倍首相が五輪招致でついた「ウソ」 “汚染水は港湾内で完全にブロック” なんてありえない (Yahooニュース 水島宏明氏)

汚染水に関していえば、現在「打つ手がない」ことは明らかだ。

安倍首相が自信満々に言ったことはこれまで東電が汚染水に関して発表してきた事実とも完全に異なる。

五輪開催の決定にはさらに皮肉な効果もある。

それは首相が国際的についた「ウソ」を2020年に向けて「マコト」にしなければならない宿命を背負った、ということだ。

これまで政府が本気で取り組んでこなかった汚染水や放射能汚染の広がりについて、今後、解決できければ、「首相の大ウソ」が国際的に批判されかねない。

東京五輪に向けて福島の問題は世界のメディアからますます注目される。もうこれ以上、ウソを上塗りすることはできなくなる。

氏は、もう一つの問題も指摘している。
日本のマスコミのトホホぶりである。

五輪開催の喜びに沸く報道一色のなかで、安倍首相の一連の発言に「?」をつきつける報道がテレビにも新聞などのメディアに見られないのはどうしたことか。

東京開催決定で浮かれた報道をしている陰で、本来、報道すべき現実が報道されないままに放置されている。

こちらは超ブラックな2020年東京オリンピック開会式のレポート記事。
で、選手も防護服来て競技するんだろうか……。
東京五輪開幕 夏の夜空、花火彩る (虚構新聞)

 

 

  • トップへ戻る
  • カテゴリアーカイブ
  • HOME

コメント

メールアドレスが公開されることはありません。* は必須項目です。


*


*