シリア 化学兵器破棄と和平への姿勢、自由シリア軍の「徴兵」と米仏の武器供与

シリアの化学兵器破棄について、
化学兵器禁止機関(OPCW)の執行理事会が延期された。
理由も、いつまで延期されるのかも発表されていないという。
各国の思惑(特に米露)が、水面下で絡み合っているのだろう。
数日前、アサド大統領は米FOXテレビインタビューで化学兵器全廃を明言。
一方、米仏は反政府側に武器供与?
自由シリア軍は一部地域で若者を「徴兵」と発表。
以下、メモとして。

化学兵器全廃「順守」 アサド大統領、時期示さず(産経ニュース 9/20)
シリア化学兵器の廃棄、ロシアも参加することになる (Voice of Russia 9/19)

シリア政権側から、平和的な政治プロセスを求める声があがっている。
処分には10億ドル…誰が化学兵器を処理するのか?シリアに平和は訪れるのか
(NewSphere 9/20)

ガーディアン紙はシリア政府が、内戦がすでに膠着状態に陥っており、両陣営ともに勝利が見えなくなったとして、和平の姿勢を示したと報じた。

【民主化するから自決権と支援を求む】
シリアのジャミル副首相によると、シリア経済はGDP2年分に相当する約1000億ドルを失っている。シリアは諸国からの「圧力ではなく支援」を必要としており、「外部介入の終了、停戦、平和的な政治プロセスの立ち上げ」を求めているという。ジャミル副首相は、シリアが現在の形の体制を捨て、「外部からの介入なく、民主的な方法で自己決定」を行うべきであり、「進歩的な改革を実現するために、西側とその他、シリアに関与しているすべての人々には、私たちの肩から降りてもらう必要があるのです」と述べた。

和平交渉が実現したとしても、反政府勢力を誰が代表するかについては米露間で揉めており、米国はシリア国民連合単独を、ロシアは「民主的変革のための国家調整機関」およびクルド人代表団も加えることを主張しているようだ。

【化学兵器の処分は可能なのか】
一方アサド大統領は、米露と合意した化学兵器の放棄について、処分には1年余りの時間と10億ドル程度の費用が必要だと訴えている。フィナンシャル・タ イムズ紙によれば、専門家の意見としてもそれは妥当な見積もりであるという。米国は21日までに化学兵器備蓄の目録提出と、9ヶ月以内の処分完了を要求しているが、それは現実的ではないということになる。

アサド大統領は、「米政府がその費用を負担し、有毒物質を米国に持って行くことの責任を取れる状態だというなら、それでいいのですが」と発言している。化学兵器の解体施設はロシアにもあるがロシアも乗り気ではなく、さらに、テロと内戦の脅威下において、化学兵器を現地で解体せず第三国に搬出することは、専門家によれば論外である。

こちらも大きな局面だと思うけれど、
あまり報道されていない。
仏の自由シリア軍に対する武器供与? (中東の窓 9/20)

(al arabiya netによると)(仏)大統領は、ロシアは政府軍に対する武器供与を続けており、自由シリア軍は政府軍とイスラム過激派の双方から挟まれており、これに対する武器供与を検討中であるが、武器は過激派の手に落ちないように十分保障されなければならないと語った由。

自由シリア軍司令官のsalim idris が来週パリを訪れ、関係者と協議することになっている由。
(と言うことはその会談で、仏の武器供与について相当突っ込んだコミットがされる可能性がありそうです)

記事の要点は以上ですが、印象としては化学兵器を口実としての米国の軍事攻撃が当面無くなったことを受け、反政府軍、特に自由シリア軍辺りに大きな失望が広がっていたことを踏まえて、自由シリア軍の士気を保つためにも、米仏がこれまで躊躇してきた武器供与に踏み切る可能性が強くなった模様です。

現地の動きについて。(とても追いきれないけれど)
シリア情勢(20日)(中東の窓 9/21)

・自由シリア軍は、20日ダマス郊外のゴータ(先日の化学兵器攻撃のあった地域)で1983~1994年生まれの総ての青年を徴兵すると発表した
自由シリア軍はこの措置について、これら徴兵された青年が検問所の守りを固め、自由シリア軍戦士が軍事攻撃に専念できるようにする必要からと説明した由
(自由シリア軍が、その支配地域で徴兵をしているという報道は、これが初めてではないか?)
http://www.alquds.co.uk/?p=85980

・自由シリア軍は現在政府軍の他に、アルカイダ系の過激派グループと言う敵を抱えており、両者の対立は広がりつつある。
ワシントンの近東研究所によれば、50ヶ国から最低2万人のイスラム主義戦士がおり、そのうち10%は米欧豪州からとのことである。
そのうち130名は仏から、150名が英から、300名がロシアからとされる。
1500名がレバノン、ヨルダン、イラク、トルコ等の周辺国からで、チュニジアからも800名が参加している。
イラクとシャムのイスラム国家だけで、アラブ人及び非アラブ(要するにシリア人以外)の戦闘員一万人を擁している。
反政府軍が行ったとされる人道法違反犯罪の大多数は非シリア人の手によるものである。
http://www.alarabiya.net/ar/arab-and-world/syria/2013/09/20/

これも日本の報道には出てこない。
Hurriyet紙 とは、トルコでもっとも発行部数の多い一般紙。
政治的には中道とのこと。
シリア内戦の第三勢力 (2013年09月15日付 Hurriyet紙)

シリアでは、私たちのすぐ隣では、人類史上最も恥ずべき時代の一つを迎えている。私たちの多くがインターネットで見るに耐えなかった、首を切断している奇妙な風体の男たちは、ここでは現実そのものだ。あの連中を、世界各地から一体どんな勢力が集め、そして何のためにこの地へ連れてきたのか?何のために彼らを、シリア北部のロジャヴァに住む人びとの前に連れてきて、そして放置したのか?

北部のクルド人の村ロジャバには、アサド政権軍の撤退後、
ヌスラ戦線と呼ばれるイスラム主義者が入り込んできた。
村人たちはクルド人だけでなく、トルクメン人や、
少数派のキリスト教徒も抱えこむ広範囲な勢力を結成(YPG)、
地域を占領しようと企むヌスラ戦線に対しての戦いを余儀なくされている。
(村人たちの声によると、自由シリア軍もかなりおかしいけれど)

PYD(トルコ側のクルド独立運動組織と関連した組織)セレカニ支部幹部
ジヴァン・ムスタファ博士

PYDはクルド人のための集団ではありません。アラブ系やスンニ派、異なるエスニック・グループも受け入れる集団なのです。YPGは我々と一緒に、異なる16の集団から成るデステヤ・ビリンド(Desteya Bilind)の中からうまれました。我々はロジャヴァもシリア全土も含む形で活動しています。問題は単にロジャヴァのクルド人だけの問題ではありません。クルド人と同様に、そのほかの民族グループも脅威にさらされています。クルド人の首が切られています、アラブ系もヤズィーディーもそして他のグループも…

ロシアが、和平交渉の反政府側にシリア国民連合だけでなく、
クルド人も入れるべきと言うのは、
このあたりの状況を見てのことだろうか?

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