観光というのは平和産業だなあと、何度思い知らされたことか。
この十年余り、2011年の9月11日以来でも、
観光がテロと戦争と感染症に振り回されるのを、
目の当たりにしてきた。
今年の三月、カイロの日本語ガイドアムロ君とも、
この仕事の難しさと意義について、語り合った。
観光客に、あの国に行きたいなあと思わせるには、いくつかの要素がある。
魅力的な歴史と自然、文化があること。
訪れる人をもてなせる成熟したホスピタリティーと、
それを提供できる資力やシステムがあること。
そして平和であること。
エジプトの持つ大きな財産を、
平和と安定のためのテコにしてほしい。
この記事に、あらためてそう思った。
・エジプト:ピラミッドで観光イベント
そのためには、言うまでもないことだけれど、
これ以上テロや武力衝突が起こらないこと。
シナイ半島では、列車に仕掛けられた爆弾を市民が見つけ、
軍が処理したために事なきを得たとのこと。
・シナイ半島のテロ事件(エジプト) (中東の窓 9/8)
先日の内相暗殺事件について。
・エジプト:アル=カーイダによる内相暗殺未遂事件、容疑者を逮捕
(Al-Ahram紙 9/7付 日本語で読む中東)
治安関係の情報筋によると、爆発した車は、爆発物の製造を専門とする者によって仕掛けられたものであり、おそらくアル=カーイダに属し、同胞団の国際組織と関係を持っているという。
「同胞団の国際組織」ということが、もしかしたら、
エジプト国内の平和的で穏健なイスラム主義者たちをも
弾圧するための口実になっていくのではないか。
そのことが、穏健なイスラム主義者の先鋭化を招き、
あるいは海外からの過激派の流入を促し、
彼らをテロの方向に押しやってしまうのではないかと、怖れている。
観光客が戻るためには、それでは逆効果なのだ。
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