エジプト 対話と歩み寄りに向けて、チュニジアのこと…

「アラブの春」を先導したチュニジアも、エジプトと同じように、
前政権退陣からムスリム同胞団系の政党が政権を取った。
その後の混乱も似たような図式を描いている。
けれども、同じように「革命」のその後の過程でもがきながら、
エジプトとは異なった道筋をたどりつつあるようにも見える。
対立と分断ではなく、対話と歩み寄りの道だ。
少し前からのことだけれど、目に留まったものだけ(そもそも数が少ない)、
メモっておこう。

チュニジアで野党指導者殺害、数千人がデモ
(CNNニュース 7/26)

チュニジアとリビアでは、反同胞団系の野党政治家の暗殺が続いた。
7月にチュニジアで暗殺されたのは野党指導者で、
独立以来暗殺事件がなかったチュニジアでは動揺が広がり、
同胞団系のナハダ党政権に対する数千人規模の抗議デモが起きたとのこと。

エジプトと同様の問題を抱えつつ、展開はかなり違う。
チュニジア情勢 (VOV 8/13)

こうしたなか、今月6日に開かれた憲法を制定するための議会で、定員の3分の1近くのおよそ60人の議員が内閣の総辞職などを求めて議会を欠席しました。

欠席した議員の中には、野党だけでなく与党の議員も含まれていて、議長は「政権と野党勢力の対話が行われるまで議会を停止する」として、憲法制定議会の一時停止を宣言しました。

世俗派野党幹部、ブラヒミ制憲議会議員の暗殺事件に抗議して先月27日までに、世俗派などの同議会議員52人が辞職しました。同議会の定数は217議席です。世俗派は議会解散や挙国一致政権の樹立を求めています。

野党にとって、エジプトでムスリム同胞団出身のモルシ氏が軍によって大統領職を解任されたことが追い風となっており、イスラム系の政権を退陣させ、憲法を制定するための議会を解散させることを狙っています。数週間後には、暫定議会が憲法の草案を取りまとめ、新たな選挙関連法を成立させることになっていまし た。

少なくとも、議会制民主主義の制度内の改革の動きがあること。
そして、もう一つ、労働組合の動きも。
『アラブの連鎖。エジプトからチュニジアへ』(中東TODAY 7/28)

反体制派の人たちに言わせると、今回のムハンマド・ブラヒミ氏の暗殺は、信じがたい悲劇ということになる。それはそうであろう、彼の前にも反政府派のリーダーが暗殺されているのだ。
ショクリ・ビルイード氏がその人であり、彼は左翼の運動家だった。彼の暗殺はチュニジアの各労働組織に、怒りを生み出し、多くの労働団体がストライキに入っている。そのなかには公共交通組合、公務員組合、商業組合なども含まれている。

チュニジア情勢(1日)(中東の窓 8/2)

このような展開の中で、「中東の窓」の野口氏は(8/18の記事で)、
エジプトと違ってチュニジアのナハダ党は、以下の三点から、
軍のクーデターで倒されることはないだろうと、分析している。

  1. チュニジアは軍の性格が違う。純粋にプロの国防軍であり、国内政治にはかかわってこなかった。
  2. エジプトのムスリム同胞団が単独政権であるのに対し、ナハダ政権は、世俗主義政党を含めた三党の連立政権であること。そのため、野党のブレーキが働く。
  3. チュニジアでは、イスラム厳格派サラフィー主義者のなかの強硬派がテロ組織とみなされており(野党政治家の暗殺も彼らのテロと言われている)、そのことが逆説的にナハダ党を守ってきた。

要するに、ナハダ政府が過激派に対する取り締まりに手ぬるいという批判はあっても、一部の者を除いてはナハダ党=テロ組織と単純化することは、余りに虚偽の宣伝であるという健全な意識を国民に与えているのではないでしょうか?

そして数日前、対話の動きが。
チュニジア政情(新内閣への合意?)(中東の窓 8/22)

22日付のal arabiya net とal jazeera net は、ナハダ党党首のガンヌーシが同日労働総同盟議長と会談し、会談後ガンヌーシがナハダは総同盟の提案していた政治危機解決案に同意し、現内閣を解散し、 救国内閣の設立すること、暫定議会を解散することなく、各政治勢力との国民対話に応じることに合意したと発表したと報じています。
記事はこのガンヌーシと労働総同盟議長との会談は3回目の会談であったとコメントしています。
なお、ガンヌーシはナハダの側からも若干の提案をしており、その提案は総同盟から諸政治勢力に提示されることになっているが、真剣に検討されるものと考えていて、総同盟との会談の結果はナハダと連立の関係者に報告することになるとコメントした由。

取り敢えずのニュースは以上で、従来の反政府派の要求は議会の解散と繰り上げ選挙の実施、現内閣の辞職と救国実務者内閣の樹立だったかと思いますが、ナハダとしては、そのうち暫定議会の解散は飲まない代わりに、野党から非常に評判の悪かった現政府の退陣ということで手を打ったということのようですが、これで チュニジアの危機が取り敢えず乗り切られることになったのか、注目されます。

その後は目立ったニュースはないけれど、
なんといっても、同胞団系のナハダ党と世俗派の間に入っているのが
軍ではなく労働組合というのが大きいように思う。
しかし労働組合がそれほど力を持っているということが、
知らなかっただけに、驚きである。
また、同じ同胞団と言っても、指導者により、
あるいはこれまでの政権との関係によっても、
性格は異なるのかもしれない。

そして昨夜、こんなニュースを読んだ。
エジプトのムスリム同胞団と暫定政府が協議
(Iran Japanese Radio 8/23)

(エジプトの新聞)アルワタンは、ムスリム同胞団の関係者の話として、「この協議は、22日木曜夕方、ムスリム同胞団の幹部、一部の仲介者、暫定政府の関係者が出席し、エジプトの政情不安の政治的な解決法を見出すために行われた」と報じました。
消息筋によれば、この協議では、ムスリム同胞団の関係者の拘束の停止、デモや暴力的な措置の停止と引き換えにしたムスリム同胞団の解散の阻止について話し合いが行われたということです。

23日のデモは小規模なものであったと、日本の各紙も伝えている。
希望をつなぎたい。

【追記 8/25】

野口さんの続報によると、歩み寄りは頓挫した模様。残念。
双方ともがなにかをあきらめる、妥協することの難しさ。

結局は当面労働総同盟の仲介努力は成功せず、ということで反政府派の救国戦線の「退陣を求める週間」が始まることとなりました。先ずその第1日はバルドー(議会とバルドー美術館のあるところ)で集会を開くことになっていて、元首相のシブシー(先日パリでナハダのガンヌーシと会談した)もこの集会に参加するとのことです。他方、アリード首相は、各県の知事に対して、交通を邪魔し、市民生活に大きな影響を与え、公安を害する行為は厳重に取り締まるようにと支持したとのことです。

今のところチュニジアから大きな混乱のニュースは入っていませんが、取り敢えず。

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