エジプト 他人事ではないこと

昨日のデモでは、マンスーラというところで死者3名との報、
一方カイロでは大きな衝突はなかったようだ。
心配なのは、(8日のように)双方に発砲して武力衝突を引き起こすような
一部の挑発行動だ。
暫定大統領も演説で、暴力行為に対する警告を発していたけれど、
軍・警察の警備が功を奏しているのかもしれない。
とにかく、いかに流血を回避していくかが当面最大の課題だと思う。

連日エジプトの様子を追いかけていて、
中東関連のブログリーダー登録も増えている。
今日登録したブログで目に留まった記事。
エジプトの青年の生の声を紹介している。

エジプト青年の長い手紙(アナザースカイ エジプト 7/12日)

彼は、今回の政変に対する日本(や世界)の一面的な見方に、
ちょっと待ってくれと、日本語でつづった。
クーデターだと決めつける前に、
エジプトの国民がどういう状況におかれていたのか、
なぜ大勢の人たちがムルシに異を唱えたのか知ってほしい、というのだ。

彼は、ムルシ政権が国民に強いた日々の暮らしの困難を、
その強権宗教化を、8つの項目に分けてあげている。
やはり問題は、急激な経済の悪化とイスラム化への危惧、この二点である。
国民がどれほどの怒りと嘆きをため込み、生活の苦しさに耐えてきたのか。

今回のデモは、いつも規制する側の警察も軍も国民の味方でした。それほど多くの国民がムルスィーには失望し、危機感をもっていたのです。
日本で流れる報道は、結果だけを流しています。一番大切な私たちエジプト人の理由や苦しみは語られていません。それはイーブンではないと考えます。

エジプトの人々の声を聞かず、クーデターだから許せない、
選挙による正当な大統領の追放は民主化プロセスを踏みにじるものだ、
これは軍と同胞団の権力闘争だ、
というような原理原則論だけを外側から言い募ることに、私も、
「イーブンではない」と感じていた。
長い手紙はこう締めくくられている。

私たちはこの1年、本当に辛い思いをしてきました。そうでなければ、あれほどの人たちが集まって、抗議するはずがありません。
これを読んだ方が少しでも、理解していただけることを願っています。

エジプトの情勢に対しては、参院選だからかもしれないけれど、
フリージャナリストたちの声もあまり聞かれない。
(たまたま私が追っている人たちだけのことなのだろうか?)
トルコのデモに関しては田中龍作氏の現地レポートがあったのに、
エジプトに関しては、民主化の頓挫が残念とのツィートがあったくらいで、
他にはほとんど目にしていない。
これはどうしたことか。

エジプトの不安定化がグローバル経済に(日本経済にも)及ぼす影響については、
原油価格が上がるとか、スエズ運河を通る物流が滞るとか言われている。
けれど日本が他人事ではないことが一段違うレベルで、
より根源的なレベルで、あるではないか。

選挙で選ばれた政権は本当に民意を反映しているのか、
なぜ政権は、選挙の勝利を100%の信任とおごり、
平気で民意を踏みにじるのか、
そのことに対する国民の審判はどう下されるべきなのか、
国民は、どのように政権の暴走を止めることが出来るのか。
これらの問題は、エジプトだけのことだろうか。
参院選後、すぐにでも、私たちの目前に突きつけられることではないのか。

 

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