9月に、Noun Ya というユニットのライブに行った。
Kyのヤン・ピタール(ウード・ギター)と、
シリア出身のナイサム・ジャラル(フルート)のユニット。
ナイサムさんはフランス在住の移民二世で、パリとレバノンを行き来している。
シリアには2011年の1月だかに帰ったのが最後だという。
ライブではKyの仲野麻紀さんも、
ゲストとして息のあったパフォーマンスを見せてくれた。
4月にKy+バシールを聴いてえらく気に入ってしまったので、
今回も楽しみにしていた。
普段私が接しているのよりはずいぶんジャズ
(しかもプログレッシブ)な演奏なんだけれど、
アラブの旋律やリズムのあたたかさゆるやかさをベースに、
抵抗や革命、自由に対する強い思い入れとメッセージを打ち出した、
とても迫力のある演奏だった。
豊かで激しい情感がほとばしり出てきて、ぐっと胸に迫った。
演奏が終わったあと、ナイサムさんに、
同じような感想を一所懸命語りかけていた女性がいた。
途中、ナイサムさんが撮影した2006年シリアの映像が映し出された。
カラフルな食品や香辛料が山積みされたスーク(市場)、
磨かれた大理石の床のダマスカスのモスク、
窓ガラス越しの床屋の様子、ハマム(トルコ風呂)の看板、
老人や女性や子供の姿。
彼女が訴えたかったのは、これらの多くが、今は失われてしまったということだ。
それは私が2011年2月、デモの激化と弾圧の直前に、
確かにこの目で見たものでもあった。
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