イスタンブールのこと

三週間後のサルデーニャがまだ中身が未定。
ルート確定とホテル予約しなくちゃいけないんだけれど、
まだ『トルコを知る53章』なんぞを読んでいる。
イスタンブールが面白かったのだ。

ちゃんと書こうと思うと時間がかかるし先送りになるので、
とりあえずFBの帰国報告をこっちにも加筆転載。

イスタンブール5日間。
機内二泊、ホテル二泊、滞在正味三日間の弾丸ツアー。
この街を思い切り歩くには時間が足りなかったけれど、
新市街の裏通りの民謡酒場をはしごしたり、テオドシウスの城壁に登ったり、
アジア側の、ボスポラスの真珠と呼ばれる(観光客など一人もいない)小さな町
クズグンジュックをうろついたりと、予想以上の充実ぶり。

行ってみてしみじみわかったのは、私って、イスタンブールのことも、トルコのことも、
何にも知らないんだなあということ。
写真とも本ともテレビとも違うナマのイスタンブールにどっぷり浸っていると、
断片的な知識などいつの間にか消えていて、少しずつ、
「私のイスタンブール」が形を成してくる、そんな旅の楽しさもたっぷり味わえた。

イスタンブールは、アジアの「極西」でヨーロッパの「極東」。
でも、西より東の色が強いんじゃないかと思ってた。
エキゾチックなモスクにミナレット、喧騒のバザールのイメージ。
1453年からずっとイスラムの街なんだし。
実際のところモスクもバザールもオリエンタルなんだけれど、
全体の印象は西とか東とかに分けられない不思議な感触。

エジプトではいつも自分がエジプトにいるということが意識されていたのに、
イスタンブールでは、自分がどこにいるのかが分からなくなる、そんな不思議さ。
アジアから見たらヨーロッパで、ヨーロッパから見たらアジア。
でもその真ん中にいると、どちらでもありどちらでもないような。
とにかくとっても面白い街であることだけは確か。

驚いたのは街の活気。
ちょうど犠牲祭の直前だったためか、市場の賑わいは大晦日の上野状態で、
歩くのも大変なくらい。もちろん夜の新市街も大賑わい。
でも聞いてみたら「週末はもっとすごいよ」とのこと。

そうそうもうひとつ、皆フレンドリーで親切で、人懐こいのにもびっくり。
ストリートで、いわしを揚げてるお父さんの手伝いしてる小さな子供も、
レストランで見かけた、黒装束黒スカーフの少女たちも、
私のカメラに、くったくのない素敵な笑顔を向けてくれた。
男の子は、胸ポケットから自分のデジカメを取り出して記念撮影をせがむし、
少女たちは、ポーズをとりVサインを掲げた。

市場のおやじにぼられたのは、お約束だから仕方ないとして(あ、タクシーも)、
それ以外のところで会った人たちがことごとく感じが良いというのは、
考えてみたらすごいことだ。みんな気持ちに余裕がある。
異国からやってきた言葉も通じない旅人には、
その心の豊かさあったかさが本当に嬉しかった。
旅先の思い出は、いつもその街の人々と共に残る。
イスタンブールは、そういう思い出がいっぱい詰まった地になった。

istanbur1
ボスポラス海峡をアジア側からヨーロッパ側に渡る。
正面はスレイマニエ・ジャーミー。

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1 Comment

  1. 【政教分離と女性たちのことについての追記】

    イスラムの国で、黒装束&ベール(たとえ顔はさらしてても)の女性で、
    こんなにオープンなのは初めて。
    他のイスラムの国で、繁華街や市場、モスクで見かけたベールの女性には、
    カメラを向けることさえはばかられた。
    そういうオーラが出てるんだよね(国によって多少の温度差はある)。

    トルコは国民性もあるだろうけれど、やっぱり政教分離が大きいのかな。
    たとえムスリムでも、ベールをかぶるかぶらないは個人の自由。
    ただし公共の場所、大学とか議会とかではベールは禁止。
    それが近年、公共の場所でもかぶる”自由”が叫ばれたりしてるらしい。

    知らなかったんだけど、
    近代トルコの父ケマル・アタチュルクがトルコ共和国を樹立したとき、
    政教分離、議会制民主主義の導入、男女平等の参政権と教育、
    トルコ語の表記をアルファベットに、というような改革を一気にやったそうな。
    (これだけのこと、一気にやらなきゃできなかっただろうな)
    だから、同じイスラムでも、女性が教育を受けるのが命がけのようなところとは、
    女性たちの伸びやかさおおらかさが、きっと違うんだと思う。

    ブルー・モスク裏手の広場で、高校生くらいの少女たちのグループが、
    私たちのグループの若い女性に声をかけてきた。
    ベールの子もそうでない子もいた。
    一緒に写真を撮りたいってもう大騒ぎ。
    大喜びで写真を撮りっこしてました。
    こんなことも初めて。

    レストランでの話。
    私は通りに面した席で、道行く人や通りの様子を写真に撮ってた。
    そしたら、斜め向かいのレストランの黒装束&ベール
    (顔はしっかり出してる)の彼女たちのほうから、
    私のカメラにアピールしてきた。
    自分たちも撮ってくれって。
    通りを挟んだこっちとあっちで、
    あと一枚ね、とか、今の良かったよ!とか、
    手振りでコミュニケーションしながら何枚か撮った。
    彼女たちの笑顔はとても自然で、開けっぴろげで、楽しそうだった。

    今回一人だけ、顔もすっかり覆ってる女性に、
    ブルーモスクの近くで会った(ガイドは観光客だと言ってた)。
    目のところに横にスリットが入ってるだけ(外からは目さえ見えない)。
    隣の男性に手を引かれて歩いてた。
    手をつないでるんじゃない。引かれてる。
    初めて想像してみたんだわ、私も。
    あのスリットじゃ、一人歩きは確かに怖いよなって。
    黒装束もベールも、そういうものでもあると私には思えるけれど、
    本人に言わせると、違うんだろうか…。

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