小倉千加子 学陽書房/1988 ちくま文庫/1995
本棚をあさっていたら小倉さんの本が出てきた。
私が持っていたのはちくま文庫2004年11月の第八刷。
ほとんど記憶にないんだけれど、読んだんだっけ?
この本は、いかにセクシュアリティーが作られたものであるのかを、
あらゆる側面から検証したもの。
つまり、性なんて神話にすぎないのだ、と。
なかで一番印象的なのが野生児の話だ。
野生のままに見つかった少年は、多くの人たちの努力にもかかわらず、
ほとんど言葉を覚えることが出来なかった。
あるとき、それまでにない、いらいらとした態度をとるようになる。
観察者はそれが、解消されない性衝動だと理解する。
自慰を教えれば、少年は辛いもやもやから抜け出すことが出来る。
けれども、少年はところかまわず自慰をするようになるだろう。
少年は衝動の制御を学ぶことが出来ない。
考えた末に、観察者は自慰を教えないことを選ぶ。
少年は、自力で自慰をするようにはならない。
セクシュアリティーは、「自然」に獲得されるものではないのだ。
小倉千加子は言う。
性とは言葉なのだ、と。
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