モロッコ2015:タクシー利用には気力と強い意志が必要(旅の技術編風・その1)

モロッコ2015:タクシー利用には気力と強い意志が必要(旅の技術編風・その1)

2015年1月 フェズ

モロッコに限らず、エジプトでも、イスタンブールでも、
これまでタクシー利用は気が重いものであった。
イスタンブールでは全く言葉が通じず、相乗りのルールもわかっておらず、
メーターを倒せと(ジェスチャーで)言うに、
壊れていると(ジェスチャーで)答えられて疑惑度が増し、
なんで途中から別の人が乗り込んでくるのかと困惑し、
彼らが支払って降りた時は、私たちの分まで払ってくれたのだと勘違いし、
要求された金額が不当な二重請求だと思え、気分を害した。
エジプトではメーターを倒していても遠回りされ、ぼられたと憤慨し、
マラケシュでは観光客相手の明らかなカルテル金額に、やはり憤慨した。

去年のマラケシュでのこと、リアド近くの広場に行きたかったのだが、地図で説明しても理解されず、町中をぐるぐると回ったあげく、全く違う広場で降ろされそうになったのを「ここじゃない」と降車拒否、パーキングの係員に地図を示し、ドライバーに説明してもらい、なんとか目的地にたどりついた。乗る前に取り決めた金額は観光客値段ではあったが、客待ちタクシーが皆同じ値段を言うので仕方なく了承していた。私は相当に憤慨していたので、ドライバーに、「あんた全然道も知らないし、地図も読めないじゃん。これで観光客値段なんか払えんわい !」と勝手にペナルティー額を差し引いて払った。英語を理解しなくても、言わんとすることは通じる。ドライバーはおとなしくその金額を受け取ったのだった。

かように、タクシー利用には気力が要る。うっかりしているといつのまにか目的地が変わり、予定外の額を支払う羽目になったりする。それはぼっているというよりも、彼らの交渉力の勝利だったりもするので、気力に加えて注意力と強い意志(ちょっと大げさ)も必要となる。

カサブランカでは空港から市内までグランタクシー(遠距離向け)が一台300DH(4,000円程度)であった。モロッコ到着は夜遅めの時間だったし、なにせ様子がわからない初日なので、ホテルを通して予約していた。

その後、カサブランカから空港まで二度アクセスしなければならなかったのだが、いずれもカサ・ボヤージュ駅から列車を利用した。が、駅まではやはりタクシーである。4つ星ホテルのレセプションではしきりに空港までのグランタクシーをすすめられた。何より安全だよ、観光客はモロッコの列車に慣れていないし大変でしょう、とか、あれこれ言う。大丈夫、トライしてみたいから、等々答えていると、じゃあ250でどうだ、と言う。200 なら…、と交渉してみてもよかったが、いやいや、けっこうです、それよりタクシー呼んでよ、と頼む。グランタクシーかプチタクシー(近距離用)か、と聞か れ、トライついでにプチタク シーを頼んでみた。

モロッコのタクシーは基本相乗りだが、グランタクシーは(プチタクシーも?)一人で占有することもできる。グランタクシーはタクシー専用の乗り場で、プチタクシーは路上でも拾える。ホテルからプチタクシーを利用する場合はポーターに拾ってもらうのがお勧め。このときは何度か(方向が違うと? )拒否されるも、ポーターが交渉してくれ、相乗り相手を先に下ろし、その後問題なく駅まで到着。30DHであった。

帰国日の前日、カサブランカの5星ホテル前のグランタクシー乗り場では、前を通るたびに仕切りのおっちゃんに、どこへ行くのか、市内観光はどうか、空港まで行くのか、などと声をかけられていた。その際、駅までいくら ? と尋ねると、空港まで行くのがいいよ、と教えてくれない。それならいらない、とその場を離れると、後ろで50DHと叫んだ。

当日スーツ ケースを転がしながら行くと、待ってましたとばかり「空港までだよね」と同じおっちゃん。決然と「カサ・ボヤージュまで」と答えても、やはり「空港までが おすすめだよ」とねばる。目の前の通りには赤いプチタクシーががんがん走っているので、じゃプチタクシーにするわ、と行きかけると、やっと、「OK、駅までね、はいどうぞ」、となった。

が、 これで安心してはいけない。乗り込んでからも、「空港までだよね」とドライバーが攻勢をかけてくるのだ。「列車だと何かと大変だよ、たった300じゃない か、このままいけば快適だし、早いし」と責めてくる。これにもまた決然と、「私、列車って全然大変じゃないのよ」「いいから、カサ・ボヤージュ!!」と答え続けなければいけない。やがて運ちゃんも諦めるし、あとは気を悪くするでもなく、すんなりと駅まで行ってくれる。50DHと取り決めているので、遠回りもしない。

ちなみに、列車は初めての観光客でも全く問題なかった。地元の人たちと一緒に並んで窓口で切符を買い(一等60DH、二等 40DH)、改札人にパンチを入れてもらい、その際ホームも案内してくれるし(電光掲示板もわかりやすい)、あとは乗るだけである。自動券売機でも、カード払いはエラーになったものの、現金では買えた。

私に問題なのはスーツケースで、階段の上り下りがかなりに大変。一度目はうんうん言っていたら助けてくれる人がいた。もう一度はどこからともなくポーターが現れたので頼んだ。ただしこのポーター、親切なおじさんと勘違いしてはいけない(本当に親切なおじさんもいるが)。そのつもりがなくても、うっかりしているとさっさと荷物を運ばれ、チップを要求されて興ざめとなる。空港駅に着いた時なども、ホームで待ち構えていて勝手にキャリーに積まれてしまったりする。地下から地上階の空港まではエスカレーターもあるし、転がしていくのは全然苦にならないので、いらない場合は最初にはっきり「いらない」と、意思表示しなければいけない。

今回はカサブランカでもフェズでも、意外なことにプチタクシーが好印象であった。地元の人の市内の足であるプチタクシーは、相乗り客とにっこりと笑いあったりできて気分が良いし、フェズで酒の買えるスーパーまでと頼んだときは、相乗りのおっちゃんが、ここでかいショッピングモールでさ、ブティックもあるし酒もたくさんあるよ、と教えてくれた。

●リアドにはタクシーで行けない

マラケシュやフェズで、メディナの中にあるリアドにタクシーで行くのはかなり難しい。山ほどあるリアドの名前などドライバーは知らないし、通りの名前も同様である。そもそもメディナは、要塞のような高い壁の家々が隙間なく並ぶばかりの、ということは、両側が窓もない壁の、車も通れない細い通りが迷路と化している地域なのだ。玄関先まで車で行けると思う方が間違っている。

従ってリアドに行くには、街を囲む城塞の切れ目である一番近い門か、車の入れる一番近い広場までタクシーで行き、あとは徒歩しかない。標識が出ていたりはするが、自力でたどり着くのはけっこう難しいので、どのみち電話をかけるしかなかったりする。

いっそ駅からの迎えを頼んでおけば、(専属の ?)グランタクシードライバーが駅構内で待っていてくれ、ドライバーは少し手前でリアドに連絡を取ってくれるし、小路の入り口に到着すれば、そこにはリアドスタッフがにこやかな笑顔で立っている、という手はずだ。今回のフェズでは、スタッフと共に小さなリアカーでポーターが待機していた。このようなお迎えは少し割高となるけれど(今回の場合70DH+ポーターチップ。フェズのメディナは広いので、場所や時間帯によってはもっとするかも)、様子がわからないので仕方がない。

広場や門には絶えずプチタクシーでやってくる人がいる。これを待っていればすぐにタクシーを拾えるということがわかれば、 帰りはプチタクシーで行けばいい。ホテルスタッフにその旨を継げ、荷物だけ運んでくれと頼めば、ポーターチップだけで足りる。この時は何人かが広場で待っていて、当然のごとく相乗りとなったが、フェズ駅まで12DHであった。

●モロッコのアルコール事情

イスラム圏では比較的飲酒に緩いとされているモロッコではあるが、場所によっては少し苦労がある。総じて、メディナの中のリアドでアルコールを置いているところは少ない。レストランもしかり。ただし、高級レストランや豪華リアドでは置いているところもある。置いていないホテルやリアドでも、買ってきて飲むのに文句は言わないし、(私たちが泊まるような)観光客の多いところでは、部屋だけでなく公共スペースでも気兼ねなく飲める。これが田舎のオアシス村だったりすると、当然ホテルにも置いてないし、買いに行くにも近所にそんな店はなかったりする。それでも、持ち込んだビールを夕食と共に飲むのに、いやな顔をされたことは一度もなかった。

新市街では、アルコールを置いているホテルやレストランもぐっと多くなる(ただし、アルコールを置いているホテルであっても、部屋の冷蔵庫にはソフトドリンクしかなかったりするので、その場合はルームサービスで頼む)。また、アルコールを売っているのは新市街や郊外の大きめのスーパーで、たいてい売り場は別になっている。ビールはカサブランカやスぺシャーレというモロッコ産があるし、ハイネケンはどこにでもあった。ワインはメクネスという有名な産地もあり、リーズナブルで結構美味しい。

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