アベノミクスと抱き合わせに私たちが信任を与えたもの

アベノミクスと抱き合わせに私たちが信任を与えたもの

(エネルギーと時間のロスのみに終始した)仕事の虚脱感がことのほか大きく、
個人的な日常仕事をする気が起こらない。年末だっていうのに。
(反動で)ぼーっとVideonews.comの衆院選結果をめぐるトーク、
『与党圧勝が意味するもの』を見る。
ぼーっと見るような内容ではないんだけれど、
内容の意味するところのオソロシサに、自衛反応でよけいボーっとしてしまう。

これは無料視聴できないのかな。久しぶりにPCからサイトに行ったら様子が変わっていて、無料視聴可なのかどうかがよくわからない。でもこれは、投票に行かなかった48%の人に是非見てほしい動画だ。先日の記事でも書いたけれど、自民党の獲得した票数は、2009年の民主党政権誕生時より低いのである。にもかかわらずの圧勝は、小選挙区制というシステムにもよるけれど、投票しなかったことによる信任の結果であると、ひと言で言えば言えるからだ。

この人たちは、内田さんによれば「判断しない」という”判断”をしたと思っているかもしれない。アベノミクスの結果を期待感と共に様子見だと思っているのかもしれない。あるいは、野党があまりにひどくて託せる人や党がないのだから仕方がないと、あきらめているのかもしれない。

でもきっとこの人たちは、投票しないことが自らに及ぶ不利益などそうないのだと、たかをくくっている。自分が秘密保護法でしょっ引かれることなんかないだろうし、ヘイトスピーチで攻撃されるわけでもない。言論の自由っていったって、別に敢えて言いたいこともない。いや言ったって何も変わらない。戦争に行くのは自分じゃなくて自衛隊だ。徴兵制 ? まさか。それにあたし女(トシ)だし。とか。

コメンテーターの白井聡氏はこれに、「甘いこと言ってるんじゃないよ。(棄権するというのは)気に行った料理がないからって、入ったレストランから出てくるのとは違うんだ。飢えてるときに好きな料理がないから食べないなんてわけにいかないだろう」と手厳しい。手厳しいのは、結果的に私たち国民全員が(アベノミクスと抱き合わせに)信任を与えたことの帰結が、あまりに暗い将来を照らしだすからである。

神保さんが何度も、その信任を与えた項目のリストを掲げる。ボードをキャプチャした画像をトップに置いたけれど、あらためてその内容を記してみよう。

結果的に信任を与えた項目
・・・「これらはいずれも過去2年間の間に日本が経験した劇的な政策変更だった。」

  • 集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈の変更(専守防衛からの離脱)
  • 憲法改正
  • 武器輸出の容認
  • 特定秘密保護法
  • 金融緩和の継続
  • 大型公共支出の継続
  • 愛国教育の推進
  • 原発の継続
  • TPPへの参加
  • ヘイトスピーチの容認
  • 言論機関への介入
  • 生活保護の縮小
  • 非正規雇用の拡大

宮台さんは特に、特定秘密保護法と言論機関への介入が、全体の目的推進に果たす役割の大きさ、つまり政治権力の暴走の歯止めの役割を果たせなくなる点を指摘、それはすでに自主規制という形で顕在化している、と強調した。

白井さんはこれらの項目に加えて、大学教育への権力の介入を上げたが、私も項目にある「愛国教育の推進」と併せて、政策に対する疑義や反対を、現在だけでなく将来にわたって抑止するべく周到にセッティングされていることに、注目すべきだと思う。

宮台さんは、これら詐欺にちかいやりかたで通してきた抱き合わせ項目が、今後より露骨に可視化されれば、国民の支持はいずれ失われるはずだ、そう思いたい、と言う。希望的観測がやや弱気なトーンを帯びるのは、「感情が劣化するとファシズムが生まれるという定理が目の前で現実化している」からか。

いずれにしろ、お二人が指摘するように、もはや、信任の帰結の可視化を待つしかないのかもしれない。そう思ってしまうこと自体がまことに恐ろしいけれど、でも振り返ってみれば、私もすでに、いつからか、そんなふうに思っていたことに気付く。行きつくところまで行って破たんするしかない、そんな声もどこかで聞いた。

白井さんは、ISに絡んで(アメリカの政策変更によっての)日本の中東での戦争の可能性に触れた。次は、いつ、どこで、誰を相手に日本は戦争をするのか、もはやそういう段階なのだと。ここま可視化されなければ、私たちが「そんなはずじゃなかった」と思えないのだとしたら、あとは本当に神保さんが言うように、「なるべく血が流れないうちに」と願うしかない。

白井さんは、「資本主義の末世だ」と言う。資本主義に代わるものを”生む苦しみ”の時代に入ったのだと。「狂人が盲人の手を引いている」とシェークスピを引きながら。大きなクライシスは無くても、やがてこの社会は崩壊するだろう、その崩壊の主導者として、安倍さんは歴史に名を残すかもしれないと、激烈な皮肉の言葉を吐く。が、彼は激烈なのに、とてもクールでもある。「不幸なことではあるけれど」私たちはたまたまこのタイミングで生まれてき て、生きていかざるを得ない。絶望なんかしていてもしょうがない、そう言われた気がした。
そう、「なに甘いんこと言ってんだよ」と。

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